らぶパチ|らぶパチ連続小説|チェルシー(ルービー・ムーゲー・ゲーハー)

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第20話 ルービー・ムーゲー・ゲーハー

 電灯に照らされた俺の顔は一体どんな表情をしていたのだろうか。
男は「お前ら『常連』は、明日からどんどん負けるから」と言い残し、ランクルと共に走り去って行った。
暗くてよく分からなかったけれど、男はキャップ君だとチャリに乗りながら気付いた。

何をされたワケでもないのに、なんだか急に怖くなった。
家路に向かう道中誰かに襲われるんじゃないかと余計な考えが湧くと、ケツの痛みを忘れ漕いでいた足は加速した。
誰かに今起きた事を話したかった。
一人じゃ居られそうにないほどだったけれど、ピーちゃんもおばちゃんも、ポップさんも…メールも電話番号も知らない。
誰かに今起きた事を聞いてほしかった。
けれど、話せる仲間が誰も居ない。
家に帰り、周囲をキョロキョロしながら部屋のドアを開け、ビール片手にバラエティ番組を見たり、何度もクリアしたゲームのスタートボタンを押して気を紛らわす事で忘れようとした。
翌朝、精神的に折れた非力な心は足をパチンコ屋へ向わせることをしなかった。
でもパチンコやパチスロを打ちたいという気持ちに変化はなかった。
何年も通って出来た話せる人や、酒を一緒に飲んでくれる人や、チャリをパクってしまう人がいるホールへ行きたいと思っていた。
実際には大した話しじゃないけれど、俺の居場所が無くなるようで嫌だった。
なによりも件を知らない『常連』仲間に伝えねば…。
日頃から周囲に好かれなくてもいいから、嫌われたくないという脆い塀で囲んでいた自分だったから、「誰かの為に」という気持ちは新鮮で、錯覚にしろ心地良かった。
時計を見ると、開店時間を1時間以上過ぎていた。
そんな考えが押し寄せては、『新・常連組』に何かされるのではとの考えもやってくる。
気持ち的には500円玉よりデカい、700円玉ハゲが出来そうになるほど、その日、生涯で一番悩んだ。

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