らぶパチ|らぶパチ連続小説|チェルシー(おばちゃん)

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第3話 おばちゃん

 パチンコ屋ってのは不思議で、色んな人達が集まってくる。
仕事が休みや帰りがけの人、ビニール袋に野菜が詰まったままの人、営業中なのかなと考えさせられる人、明らかに18歳未満の若い人、独特の空気を持った人、いつもデータを採取している人…などなど。
他にも大勢寄ってくる「冷たくも熱い場所」だといつも感じる。
入場まであと10分。
自動ドアの前に集まってる人達の前を通り過ぎながら頭を軽く下げる。
反応が返ってくるのは、パチンコ狙いのおじちゃんとおばちゃん達。
中でも親しげに話してくれるのは「仕事人」好物の『おばちゃん』。
仕事人が好物と言っても一時「冬のソナタ」が登場した時期はそっちに流れていったんだけど。

 おばちゃんは、さも約束したように「おはよう」ではなく、昨日勝った負けたの話で挨拶してくれる。
それが日常に溶け込んでるから、もはや挨拶の域に到達してるのは間違いない。
その話がないと、もう生きてけない!とまではいかないけど、1日で最初に安堵出来る瞬間だ。
「昨日お兄ちゃんが打った台、あの後出てたわよ〜!なんでヤメちゃったのよ〜!?」
恰幅がいい体から繰り出す大きな声は、なんでか知らないけど妙に落ち着いたりする。
ホールの常連の輪に打ち解けられたのも、このおばちゃんが居たからだ。
話下手な自分だけど、仕事もしないでいると人と話す欲求がやたらと強くなっていた。
おばちゃんは何処のホールにでもいそうな人で、見た目40歳くらい。
ただ、常連仲間の『ピーちゃん』情報だと実年齢は50歳になるそうだ。
詳しくは知らないけど、旦那さんが夢中だったパチスロを見てハマったそうだ。
週に1度だった来店も、3回、4回と増えていき、気付けば日曜以外はほぼフル稼働状態。
旦那さんが来なくなった理由はなんとなく聞かなかった。
「ちょっと、今日もちゃんと出しなさいよ!ほら早く開けなさいっ!」
店員に笑顔で絡むおばちゃんの声は、最後尾にいた俺の所まで響いた。

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