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「ごめんなさい…」
駐輪場に来てからの時間は、5分も経っていないと思う。
落ち着きを取り戻した彼女がゆっくりと『謝った理由』を話しだした。
「…………私、このホールの娘なんです」
「えっ?…あ、あのゲレンデ…?」
「………はい」
突然のことで頭が真っ白になった。
「このお店、今日で…終わりなんです…」
真っ白になった頭の中が、今度は真っ黒になった。
「あ…え…え〜…終わりってその、閉店するって意味?」
「…おじいちゃんから後を継いだのは、よく見かけると思いますけど、パパなんです。でもパチスロの規則が変わって…知ってると思いますけど…お客の数が目に見えて落ちていって…」
立ち上がろうとした彼女の腕を支えた。
「それで…?」
「それで…資金繰りが悪化しちゃって…でも、それでも来て頂いているお客様達には精一杯還元したいって…パパがそんな風に考えてたのを知らなくて…。だから少しでも私も役に立ちたいと思って…。自分の家で打つのは悪いことだって分かってるんです。お客様にすごく迷惑をかけるし…。けど、常連さん達と親しくなって、少しでも雰囲気だけでも盛り上げたくて…」
「あー…だから……おばちゃんとかと仲良くしてたの?」
「……はい」
それについては腑に落ちていない点がひとつあった。
「あの時さ、なんでウソついたの?」
ポップさんからお金を借りているという嘘。
「あれは彼氏が見たって言ってきかなくて…それに、どうしても常連さん達が心配で…」
「彼氏…」
「ごめんなさい…。あの人のせいにするのは間違ってると思うんです。自分で始めたことなんですから。ただこんな風になるなんて思ってもいなくて…」
表情が一変した。
「止めたんです!でも全然聞いてくれなくて…」
「彼氏は…閉店すること知ってるの?」
「………いえ、知りません」
「このホールの娘だってことは?」
「……知ってます」
そう言うとまた静かに涙を浮かべた。