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第39話 全裸で逃げ出したい

 つまりは今日で、どの道行くホールが無くなるという事か。
頭の中では全く整理がついてないけれど、それだけは分かった。
ピーちゃんが以前言っていた『出る台がある』という意味も…なんとなくだけど分かった。
プニはいつも負けが込んでいる客を優先的に、それとなく『良心的』な台へ誘導していたんだろう。
ピーちゃんに教えられなかったのは、元彼の存在という理由があったからかもしれない。
「彼氏にも…その…『出そうな台』というか…良心的な台の話しとかしてたの?」
「……いえ」
「えっ?じゃ、出してたのは全部自力なんだ?」
「……はい。少し前からお店に来てたのは、私が娘で利用出来るとかじゃなくて、たぶん盛り上がってる状況を知ったからだと思います…」
勘違いしてた。
言い方はともかく、あの時俺に『お前ら『常連』は、明日からどんどん負けるから』って言ってたのは、プロとしての行動を選択しただけだったかもしれない。
それに、個人的にそれほど大負けしなかった事も、勝率が上がっていたのも、この店が盛り上げようとしてくれてたからだったんだ。
悲しいかな、調子に乗って自分の目利きが上がったと思い込んでいた。

「でも…一般的にはさ、閉店が決まったんであれば…やっぱり…出さないと思うんだけど…」
「……パパと…話して決めたんです」
少しだけ考えたけれど、俺はそれ以上のことを聞くことが出来なかった。
「……でもさ…どうしてその件を俺に今話したの…?」
つかえていた言葉を出した。
「………一番ご迷惑をおかけしたと思ってますから…それと…ごめんなさい…もう自分だけで持っていられなくて…」
「………そっか…」
もうひとつ気になることがあった。
「俺のさ、携帯のさ、アドレスってどうやって知ったの?」
「おばちゃんが教えてくれたんです」
「え?でも…おばちゃん?俺のアドレス…知らないと思うけど…」
「でも…教えてくれたのはおばちゃんでした…」
どうしたらいいのか、全く分からない。
今朝降り出した雨はひどくなっていた。

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